第12回ふれあい寄席「ふれあい亭」

12月5日 年末恒例の「ふれあい寄席」が高坂丘陵市民活動センター視聴覚ホールで開催されました。当日は約100席の客席は満席、丘陵地区や高坂地区の寄席愛好者が集まり、毎年この催しの高座に匠の軽妙な噺しを楽しんでいました。出演は真打ち 栁家一琴師匠、2枚目 春風亭与いち、前座 桃月庵ぼんぼり のお三方。午后1時30分開場、2時開演 休憩を挟んで4時終演。高座が終わると出演者のサイン色紙の配布イベントを経て終演。

 

ふれあい亭の一琴師匠





前座   桃月庵ぼんぼり 

続いて二枚目 春風亭与いち 「桃太郎」
中入り前のとりは 栁屋一琴師匠 「権助芝居」



町内で素人芝居を催すことになった。伊勢屋の若旦那が役不足で出てこない。開幕を控え役者が一人足りない。困った世話人の喜兵衛、店の使用人で飯炊きの権助が以前は花形役者だったと話していたのを思い出し口を掛けることにした。五〇銭やって芝居に出てくれと頼む。「どんな役だ?」 「鎌倉山の泥棒権平てえ役だ」 「五〇銭返すべえ、泥棒すんの良くねえ」「芝居ですんだ、ゆずり葉のお鏡を盗っておまえが宝蔵を破って出てくる。鏡と言っても納豆の蓋、それを押し頂いて「ありがてえっね、まんまと宝蔵に入り奪ったゆずりは葉のお鏡、小籐太様に差し上げれば褒美の金は望み次第、人目にかからぬうちに」
 「五〇銭返すべえ」「なぜだ?」「そんなにながくは言えねえ」「うしろでつけてやる。そこで紺屋の金さんの夜廻りに見つかり、立ち回りになり当て身を食らい倒れぐるぐる巻きにしばられる」「五〇銭返すべえ」「本当に縛られるんじゃない。振りをすりゃいい、誰に頼まれてと責められるので子籐太様と言いかけると子籐太が現れ、おまえの首をスパッと切り落とす」「五〇銭返す」
 なだめすかし本番。客は泥棒権平(権助)が若旦那にしては汚く毛深いと思ってみている。権助、苦労して台詞を言い、立ち回りはもみ合いの大げんか、最後は縛られて舞台でゴロゴロ。「やい権助とうとう縛られたな、馬鹿」「おらのこと馬鹿と言ったな、本当に縛られていないぞ、見ろ」綱を放して舞台はめちゃめちゃ。今度は本当に縛られ「さぁ誰に頼まれた。「五〇銭で𠮷兵衛に頼まれた」/

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中入り後 春風亭与いち 「太鼓腹」










大トリは一琴師匠の「妾馬 (メカウマ)」/


江戸上屋敷の赤井御門上(あかいごもんのかみ)正室にも側室にも子どもが生まれず、このままではお家断絶、この上は身分にかかわらず良さそうなおなごを見つけ妾にと町家までまで探している。たまたま好みの娘が路地に消えていくのを見かけ早速使いをやって家の主に話させる。すぐに娘はその長屋住まいのお鶴とわかり、母親と兄の職人八五郎と3人住まい。長屋の大家は殿様の話と聞き大喜び。お鶴は美人で利口者なのでなんとか話を纏めようと母親に話すと二つ返事。兄の八五郎には大家が直接話すと、八五郎はお屋敷奉公が決まればお支度金百両がいただけると聞き、びっくり仰天。強欲な八五郎二百両にしてもらいお鶴はお屋敷へ。
 八五郎はこんな大金持ったことがないので喜び勇んで遊びほうける。結局懐には何も残らず元のまま。
お鶴さんはお殿様にかわいがられ間もなく懐妊。そしてめでたくお世継ぎを出産。にわかに町娘はお鶴のお方、お部屋様と屋敷一のお方様に変貌。兄思いのお鶴は殿様に「一度兄にお目見えを」とねだる。お許しが出て早速長屋に使いが来たが、肝心の八五郎はいない。やっと見つけ出した大家は一文無しなので着物も貸し与え、「御前に出たら言葉を丁寧にしろ」何でも言葉頭に「お」、言葉尻に「たてまつる」とつければそれらしくなると送り出す。
 さて御前。側用人の三太夫が八五郎の所作や言葉にうるさいこと。
 殿様がお鶴をともない現れる。 「鶴の兄八五郎はその方か」と問われても上がって声も出ない。「これ、即答をぶて」といわれて「そっぽをぶて」と聞き間違え、傍らの三太夫の頭を「ポカリ」。「名前をお聞きに成られてるのじゃ」、「えー、お私はお八五郎さまで、この度はお妹のアマっちょが餓鬼をひり出したてまつりまして」と始めた。殿様は面白がり、「今日は無礼講であるから友に申すごとく遠慮のう申せ」ドキドキしていた八五郎、今度は調子に乗って言いたい放題。まっぴらごめんねとあぐらを掻き、「なあ、三ちゃん」はてはお女中を「ばあさん・・」などと始めるから三太夫カリカリ。殿様は一向に気に掛けず、酒などを勧める。八五郎酔っ払ってお鶴を見つけると「おまえがそう立派に成って暮れたと聞けば、ばあさん喜んで泣きやがるだろう。おい、殿様・・すいませんね。こいつは気立てが優しいいい女ですよ。末永くかわいがってくんなせいませ」としんみり。
最後に景気直しだと言って都々逸をうなる。八五郎はこんないきさつで侍に取り立てられたと。
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高座の終わりは出演お三方のサイン色紙のプレゼント。客席の希望者の挙手で。