第11回落語寄席 ふれあい亭

令和6年12月6日 高坂丘陵市民活動センター視聴覚ホールで例年恒例の社協高坂丘陵支部の主催で落語寄席が実施された。出演は真打ち 柳家一琴、二つ目 桂 蝶の治、 前座 柳家ひろ馬 のお三方。 会場はおよそ100名のホールで落語には手頃な会場。平日の午後なので客席は高齢者でほぼ満席、楽しい笑い声に暮れのホールが包まれました。

   

        

高座は最初に登場する前座 柳家ひろ馬 1992年2月茨城県生まれ 2019年7月 柳家子せん に入門 2021年5月前座、出し物は「雑俳」


続いて高座は二つ目、 桂 蝶の治 1997年9月東京都杉並区生まれ 2018年三代目 桂 伸治 の門下生に 桂 伸び太と名乗り、2022年10月 二つ目に昇進し桂 蝶の治を名乗る。

出し物は   「時そば」

夜泣きそば屋に寄った男が食べたそばの勘定16文を支払うとき小銭を1文、2文・・8文まで数え、そば屋の亭主に「今何時だい?」と聞く、そば屋「九つで」 男、続けて「10文、11文・・16文 へぃごちそうさま」男が1文をゴマ化すのを見ていた間抜けな男「へぇうまいことやりおる 自分もまねてみよう」と翌日4時頃、同じそば屋にやってきて、「親父、そばくんねぇ」珍妙なやりとりの後いざ勘定の段になり、同じように小銭を「間違えるといけねぇ、手をだしな、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、今何どきだい?」そば屋「へぇ4つで」 男 「5つ、6つ、7つ、・・・」                                                                 

続いて高座は 真打ち一琴師匠 出し物は「のっぺらぼう」 のっぺらぼうは目、口、鼻など何もない女の妖怪で江戸の暗い夜道では厚化粧の女性が真っ白な顔で現れるとこう見えるかもしれません。

小間物屋の吉兵衛、商売のついでに寄った家で夜遅くまで碁をうち、ご馳走にもなり夜遅く帰ることになった。赤坂見附は弁慶橋のたもとにさしかかった。提灯の明かりでふと見ると、年頃十七、八で文金島田、振袖姿のお嬢さん堀の方へ向かって手を合わせているから、これは誰が見ても身投げ。𠮷兵衛、「まあまあ、お待ちなさい。なんだね若い身空で。どういうわけか話してごらんな」「おじさん、こんな顔でも聞いてくれる?」振り向いた娘の顔は のっぺらぼう。「ギャッ」と、驚いた𠮷兵衛、夢中で逃げ出し、四谷見附のあたりまで一目散に走ると、ちょうどそば屋の灯が見えた。おやじに、これこれと話すと「そりゃあ、気持ちが悪うございましたでしょう。ところで、だんなのご覧になったのはこんな顔で?」ひょいと顔を上げると、そば屋の顔も、のっぺらぼう。仰天した吉兵衛はどこをどう帰ったか気がつくと我が家。出迎えた女房が「どうしたいおまえさん」 顛末を話すと「おまえさん、こんな顔かい?」今度は女将さんがのっぺらぼう。吉兵衛驚いてひっくり返る。翌日肩を揺すられ目を覚ました吉兵衛、女房の顔はどこも変わっていない。安心して「あー夢だったか・・・」すべてを女房に話すと「おまえさん、きのう風邪を引いたと言って一日寝ていたじゃない、」吉兵衛安心して 改めてすべてを話す。「ホホ私の顔がのっぺらぼうだったて、つまんない夢だねぇ、ん、何かい、こんな顔だったかい?」 吉兵衛また目を回す。・・・「ちょいと、起きなさいよ」女房に起こされ・・・「ぎゃ」また目を回す。そして起こされ・・これのぐるぐる回り・・・・。





中入り後の最初のステージは 二つ目 桂 蝶の治 「異母兄弟」 息子が見初めた結婚相手がことごとく親父の子供というお話

異母兄弟

息子が親父に結婚の承諾をもらいに来た。「深川の美代ちゃんと結婚します」。親父「それはダメだ」 「どうしてです ? 」親父「ワシの娘じゃ」 息子は仕方なく諦め、またしばらく経つと、息子「川崎の美子ちゃんと結婚します」「あの子もダメだ、どうしてそんな人ばかり好きになるのだ?? 」「え、またダメですか? どうしてですか ? 」「美子の母親とは昔いろいろあってその子とは結婚できないのだ」そこに騒ぎを聞きつけて母親が現れる。「何を大きな声で騒いでいるんだい ? 」 息子「今父さんと話していたのは川崎の美子さんのことです。結婚しようと考えているんです」母親 「結婚おし、おまえは父さんの子ではないんだよ」

本日のトリは真打ち一琴師匠の「近日息子」 「近日」とは今日に近い日、この落語は近日という言葉を巡って親を喜ばせたい息子のドタバタが語られます。

近日息子

上総屋の一人息子は30過ぎになっても紙芝居が大好き。チンドン屋の後を追いかけている。近所の芝居小屋が明日から始まることを父親にご注進。 芝居好きの父親は息子の親思いを喜ぶが芝居小屋には「近日開演」と張り紙があったという。父親は近日とは近いうちと言うことで明日とは限らないと聞かせる。が息子は今日に近い日で明日のことだと譲らない。親父は息子に明日とは限らないといくら言っても息子は明日だと譲らない。 いくら言っても聞かない息子に「おまえと話していると体が悪くなってしまう」と愚痴る。 これを聞いた息子は家を飛び出し医者を呼びに行った。医者が駆けつけてみると親父は縁側で煙草を吹かし、ピンピンしている。これを見た医者は「お元気で何よりですな」といい、「あの息子ならいたしかたあるまい」とぶつぶつ言いながら帰って行った。
 しばらくすると表が騒がしくなり葬儀屋が棺桶を運び込み、花輪を立て始めた。帰ってきた息子に問いただすと、渋い顔で帰って行く医者とすれ違い、あぁもう手遅れだったんだなと、気を利かせて葬儀屋を呼んで、坊さんの手配も滞りなく済ませ準備万端と得意げに話す。親父はあきれて言葉もない。吹かしている煙草もいつの間にか消えている。
 町内の連中も上総屋から医者が帰り、葬儀屋が来たから旦那が死んだと思い、くやみ上手なよっちゃんを先頭に上総屋にゾロゾロ。よっちゃん「承りますればこの度御当家では残念・・・」と口上あげながらひょいと顔をあげると火の消えたキセルを咥えた上総屋が目の前でにらんでいる。堪忍袋の緒が切れた旦那「いい加減にしろ、おまえさん方までうちの馬鹿息子と一緒になってアシのくやみに来るとは、どういう料簡 だ ! 」 よっちゃん「店の前を葬儀屋がうろうろして、表に黒リボンの花輪、入口に忌中札まで出てるんですよ。町内でくやみに来るのは当たり前でしょ」旦那「えっそこ迄手を回しやがって。この馬鹿野郎。おもてに忌中札まで出しやがって」
息子「近所の奴もあんまし利口じゃないや、よく見て、忌中のそばに近日と書いておいた」


  

客席の楽しい笑いに包まれた今日のふれあい寄席は、出演者の色紙を抽選で客席に配りお開きになった。

会場は楽しい笑いに包まれ、最後に出演者のサイン色紙を抽選で配りお開きになった。