|
|
二段膨張というメカニズムは一度シリンダー内で膨張した蒸気を次のシリンダーに入れて膨張させるというもの。ひとつの出力軸を動かすのでストロークは変えられないが、2つ目のボアを変えて同じ出力が出るようにしている。上右表にあるように第2シリンダーボアは+41ミリ大きい。その後、左側の緑色の大きなタンクの復水器に導かれ水となってまたボイラーに戻るというサイクルだ。復水器は海水で冷やしているので、そのポンプをメインエンジンからアームのリンク機構で導き動かしている。 |
|
|
そんなに大きくない船だったのでこんな高い位置にあるシリンダー部の重さは船の重心を上げ不安定にしていたのではないかとの話があった。エンジンのメカニズムは船用ではあるが、蒸気機関ということもあり、操作部分の基本的なところは同類の蒸気機関車的機構が垣間見える。大きな逆転レバーは手動でバルブを切り替えるのだが理屈どおりに目の当たりに動く機構なので理解は容易い。どれだけ力がいるのかは不明だが、クランクの間にあり、操作には細心の注意と体力いる作業だったろうと思われる。 |
|
|
出力部分はメタルコンタクトの部分が多々あり、加工精度もさることながら、ウエスの入った油箱や漏斗状の注油機構がそれぞれ工夫されて設置してあり、運転中、機関士の保全作業は大変だったろうなと思えた。 |
|
|
|
|
全国的組織なため、見学会をお願いした時のスタッフは高知、愛媛、新潟と遠方から。窓口が福岡ということにまず驚いたが、ご近所の見学集団のために駆けつけていただいた使命感には頭が下がります。 |
|
|
ストックヤードにはまだまだ未整備の宝の山。農村の身近な近代化に貢献してきた発動機は戦争による金属供出などをくぐり抜けてきた歴史の証人。デモンストレーションとして1台を動かしてもらった。シンプルな目に見えるメカニズムで力強く動く姿は感動ものだった。 |